基本システム構成

本章では、サーバの各コンポーネント上で動作する各種プロセスの動作と役割、また基本的な運用手順や設定項目の概要について解説します。

システム概要

本節では、 RS システム (SMF SDK を用いて構築した SMFv2 サーバシステム) 内の各コンポーネントの概要と、それらの連携動作について説明します。

  • ARMS-Proxy サーバ

  • Heartbeat サーバ

  • RS

全てのコンポーネントを一つのホスト OS 内にインストールする、もっとも基本的な構成は下図のようになります。

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この構成は、RS システムを動作させることができる、もっともシンプルな構成です。 可用性やスケーラビリティはもっとも低くなりますが、開発や基本動作の検証用途にはこの構成が適しています。

ARMS-Proxy サーバ

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  • 主な構成パッケージ

    arms-proxy-*.rpm

  • arms-proxy (/var/service/smf/bin/proxy-start.py)

    サービスアダプタと RS 間の Heartbeat パケット以外の全ての SMF に関する通信を仲介するデーモンプロセスです。 サービスアダプタからの SSL 通信を終端し、RS に情報を引き渡します。 また、RS からの指示によりサービスアダプタへの SSL 通信 (Push) を行います。

    RS からの要求によってサービスアダプタから取得したデータをファイルシステム上に保存し、 設定 (proxy.cfg:push-result-save-to) に従って RS へ通知します。 また、結果取得の成否および自身のアドレス (proxy.cfg:my-rpc-url) も同時に RS へ通知します。 サービスアダプタからの要求はファイルシステムへは保存されません。

    TCP 通信元

    サービスアダプタ, RS-API

    TCP 通信先

    サービスアダプタ, RS-API

  • proxy-show-status.py (/var/service/smf/bin/proxy-show-status.py)

    ARMS-Proxy サーバの状態を取得するプログラムです。 実行結果を JSON オブジェクトとして標準出力に出力します。

    それぞれの値の意味は次のようになります。

    名前

    意味

    https_tunnel_connections

    接続中の https-tunnel 数

    https_tunnel_connections_limit

    https-tunnel 数の上限 (設定値)

    push_free_workers

    同時に Push できる上限 (実行時点)

    push_workers

    同時に Push できる上限 (設定値)

    push_remain_tasks

    未処理の Push タスク数

    push_running_sa

    操作中の SA (Distribution ID) のリスト

    date

    実行日時

Heartbeat サーバ

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  • 主な構成パッケージ

    heartbeat-server-*.rpm

  • hbserver (/var/service/smf/bin/hbserver)

    サービスアダプタから独自 UDP プロトコルにより送られたパケット (Heartbeat パケット) を受け取り、 その時刻とパケット内に含まれるグラフ用のデータを定期的にファイルシステム上に書き出すデーモンプロセスです。

    サービスアダプタは RS から指示された IP アドレス、ポート番号、共有秘密鍵、送信間隔といった情報を元に Heartbeat パケットを送信するため、RS と hbserver との間で設定が揃っている必要があります。

    UDP 通信元

    サービスアダプタ

  • mreport.py (/var/service/smf/bin/mreport.py)

    hbserver がファイルシステム上に書き出した時刻を元に、Heartbeat パケットの到達状況を解析し、 必要に応じて RS に対して UP/DOWN を通知する cron スクリプトです。

    設定した監視間隔ごとに cron によって実行される必要があります。

    このスクリプトにより判定対象となるサービスアダプタの一覧が RS より取得され、その後、判定結果を RS へ通知します。

    TCP 通信先

    RS-API

  • grapher.cgi (/var/service/smf/cgi/hb/grapher.cgi)

    hbserver がファイルシステム上に書き出したグラフ用データを元に、画像または HTML を生成する CGI スクリプトです。

    アクセスごとにグラフの生成を行うことを避けるため、ファイルシステム上に画像キャッシュを作成します。

    TCP 通信元

    ブラウザ等 (UI 依存)

RS

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  • 主な構成パッケージ

    rs-api-*.jar

    ユーザアプリケーション

  • RS-API(java)

    RS システムの中核となる Java ライブラリです。UI 用の API を提供し、各コンポーネントとの通信を担当します。 SMF SDK のデータベーステーブルへの全てのアクセスはこのライブラリを通して行われます。 また、このライブラリを利用したユーザアプリケーションがデーモンプロセスとして動作します。

    TCP 通信元

    arms-proxy, mreport.py

    TCP 通信先

    arms-proxy, DBMS

  • RS-UI(java)

    RS-API を使ったアプリケーションです。デモ環境では Tomcat などのアプリケーションコンテナ上で RS-API と共に動作します。 ユーザによる監視通知や UI のカスタマイズ部分はここに含まれます。

    通信元

    実装依存

    通信先

    実装依存 (デモ環境では監視通知用の SMTP サーバなど)

停止/起動の順序について

メンテナンス等で順次プロセスを停止・起動させなければならない時は、以下の順序で行ってください。 基本的にサービスアダプタに近い cron タスク・デーモンから停止させます。

  1. 起動状態からの全停止

    1. mreport.py cron タスクの停止

    2. hbserver, arms-proxy の停止

    3. RS-API, RS-UI の停止

    4. DBMS の停止

  2. 停止状態からの全起動

    1. DBMS の起動

    2. RS-API, RS-UI の起動

    3. hbserver, arms-proxy の起動

    4. mreport.py cron タスクの開始

アップデート

ベース部分 (SMF SDK) のアップデート

「システム移行ガイド」をご覧ください。

カスタマイズ部分 (RS-UI) のアップデート

SMF SDK のバージョンアップが伴わず、RS-UI のカスタマイズ部分のみ入れ替える場合、 ARMSProxy サーバ、Heartbeat サーバの停止は必須ではありません。ただし、これらのコンポーネント上のプロセスが RS-API にアクセスできなくなるためエラーログが出てしまうことに注意が必要です。

監視方法

各デーモンプロセスの生死状況をリモートから判断する場合、以下のアドレスに対する TCP の接続性を確認することにより監視が可能です。

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-ARMS-Proxy サーバ

監視対象プロセス

アドレス/ポート

A

arms-proxy

サービスアダプタがアクセスするもの

B

arms-proxy

proxy.cfg の my-rpc-url で指定したもの

  • Heartbeat サーバ

    監視対象プロセス

    アドレス/ポート

    C

    hbserver

    hbserver.conf の ControlBindAddress および ControlPort で設定したもの

  • RS

    監視対象プロセス

    アドレス/ポート

    D

    アプリケーションコンテナ

    (java) ポート 80, 8080 等

IPv6 対応

IPv4/IPv6 に両対応するための設定について説明します。各コンポーネントで以下のように設定してください。

  • LS での設定

    • IPv6 URL の登録

    • 回線タイプ RA の登録

  • RS でのサーバ設定

    • IPv6 Proxy の登録。ホスト名はそれぞれ別のものにする

    • IPv6 Heartbeat の登録。ホスト名は対応する IPv4 のホストと合わせる

  • Proxy での設定 (proxy.cfg)

    • セクションを追加し、追加したセクションの ArmsListenAddress に IPv6 アドレスを指定する。 意味/設定例はインストールガイドを参照

  • Heartbeat サーバでの設定 (hbserver.conf)

    • HeartbeatBindAddress に any を指定する

IPv6 対応後の動作の変更点は以下のようになります。

  • SA は Push Method Query に成功したアドレスファミリのみ Push 処理に使用する (RS から取得したコンフィグに依存)

  • Proxy は IPv4/IPv6 それぞれにプロセスを起動し、Pull/Push 処理を行う

  • Heartbeat は IPv4/IPv6 両方でダウンの判定になった場合に SA をダウンと判定する。 逆にIPv4/Ipv6 どちらかでもアップ判定になると SA をアップと判定する